「NMN（ニコチンアミドモノヌクレオチド）」は、細胞内で存在する「NAD＋（ニコチンアミドアデニンジヌクレオチド）」の量を増やす役割を果たし、それによって「サーチュイン遺伝子」を活性化します。
サーチュイン遺伝子は、人間の老化や寿命に関与する重要な遺伝子であり、通常は休眠状態にあります。NADがこの遺伝子を活性化することで、代謝や身体機能（体力や疲労など）が改善され、若返り効果が期待されます。
しかし、加齢とともに体内のNADレベルは減少し、60歳では30歳の時と比べて約半分まで低下します。NADの減少によって、サーチュイン遺伝子の活性低下によるさまざまな老化現象が引き起こされます。これには、DNA損傷修復の低下、遺伝子発現の妨げ、免疫と炎症の過剰な反応、エネルギー代謝の悪影響などが含まれます。
NMNはNADの前駆体であり、直接体内に取り込むことでNADの量を効率的に増やすことができます。NMNをサプリメントとして服用するか、点滴で投与することが可能です。NAD欠乏の治療として最初にNADを直接投与することも考えられましたが、NADの分子量が大きいため細胞内に取り込まれにくいため、NMNを介してNADの増加を促す方法が採用されています。
NMNは、サーチュイン遺伝子を活性化させ、細胞の若返り効果をもたらすことがハーバード大学医学部の研究で示されています。さらに、NMNの摂取によって体内のNAD量が増加することも報告されており、マウス実験ではNMNが寿命を延ばす効果も確認されています。
また、水素との共同作業でNMNは抗老化作用を促進し、エネルギーの増加やサーチュイン遺伝子の活性化を促進することが知られています。NMNは体内のミトコンドリア機能を改善し、骨格筋、肝臓、心臓などの代謝器官の細胞レベルの改善や老化の遅延に対する期待があります。ただし、NMNの具体的な効果に関する臨床データは現段階では限られており、個人差もあるため注意が必要です。